スタッフ教育マニュアルの作り方|新人でも即戦力になる方法

接客マナーや調理の基本を効率よく教えるコツ。

正しいスタッフ教育できてますか。店長時代、スタッフ教育に取り組みましたが、失敗を繰り返してきました。一時期人手不足だったこともあり、教育を素早く行う必要がありました。そんな経験をもとに、新人を即戦力にするステップをお伝えします。

目次

はじめに:スタッフ教育の重要性

    なぜスタッフ教育が必要なのか

     飲食業は、他の業種と異なり作業自体は誰にでもできることが多いです。そのため、スタッフ教育が疎かになってしまうと、お客様のご迷惑になるようなことをしたり、自分勝手な行動の結果、お店が大きな損害を被ることがあります。スキルをあまり必要としないポジションが多いからこそ、スタッフ個々の人間力がカギになってきます。

     新人スタッフが即戦力になるメリット(顧客満足度の向上、業務負担の軽減など)

     新人スタッフが即戦力になることで、メリットが複数あります。

    ・顧客満足度の向上

    ・業務負担が減り、運営業務に専念できる

    ・即戦力になることで、人件費を削減

    ・新人同士による、知識の深め合い

    などです。知識を入れることに時間をかけてもあまり意味はないので、早く実践させることを心がけましょう。

    マニュアル作成の基本方針

     マニュアル作成の基本方針は2つあります。シンプルで分かりやすいマニュアルを作ること。達成したかどうか判別できる具体的なゴール設定を行うことです。

     まず、シンプルで分かりやすいマニュアルを作る必要があります。口で言うのは簡単ですが実際は難しいです。マニュアルは、繰り返しやっている作業を言語化して、それを第三者が見たときに実行できるものだと私は解釈しています。つまり、なんとなくでやっている作業はマニュアル化できないため、まずは行動自体を言語化できるシンプルな行動にする必要があるのです。

    例えば、ハンバーガーを作るためのマニュアルが必要だとします。文章で、まずはバンズを焼いて。。。としてもいいのですが、それだとハンバーガーを一つ作るために毎回マニュアルを作らなければいけません。バンズは2分焼いて、パテは2分焼くというルールがあれば、あとは重ねる順番さえ表で表してしまえば、覚えることが少なくなります。チーズバーガーもノーマルのバーガーも作ることができるでしょう。

     達成したかどうか、判別できるようにするのも重要です。教育を行う際、また評価を行う際に昇給の判断基準が曖昧だと従業員の反発を買います。例えば、この子は好きだから昇級させる。この子は言うことをよく聞いてくれるから昇級させる。そのような主観的な判断軸で評価をしてしまうと、上司に好かれるかどうかを判断軸に仕事をしてしまいます。そもそも仕事はお客様の課題を解決するものであって、上司の機嫌を取るためにするものではありません。

     コーヒーを30秒以内に用意できる。レジ締めを一人でできる。など、誰が見ても判別可能な基準を設けることで、昇格に向けてすべき行動が具体的になり、モチベーションが上がりやすくなります。加えて、教育側からしても何を教えれば良いかが明確になるので、人によって教えることが異なることのストレスが軽減されます。新人、教育スタッフともにわかる具体的なマニュアルを作成できるようにしましょう。

    効果的な教育マニュアルの構成

    基本的なマニュアルの構成についてお伝えします。この項目をもとに自店舗のマニュアルを作成してみてください。

    基礎知識編

     まずは、店舗の基本ルールを記載したマニュアルを作りましょう。出勤した時に何をするのか。制服の着方や衛生管理など従業員とお店とのお約束を記したマニュアルを作成しましょう。このマニュアルを詳しく作っておくことで、後々時間を取られることが少なくなります。

    <必要な項目>

    ・出勤時間、勤怠

    ・制服

    ・衛生管理

    ・退職、福利厚生などの就業規則

    ・不測の事態が起きた時の対処法(クレーム対応)

    ・心構え、マインドセット

    ・店舗(会社のミッション、ビジョン、バリュー)

    ・会社のコンセプト

    ・Q&A

    この辺りの項目を作っておけば、大体は網羅できるでしょう。特に、就業規則に関しては一番揉めやすいです。雇用契約書は作成していると思いますが、お金や働き方に関する部分は特に注意してマニュアルを作成しましょう。後々詰められると、今のご時世本当に大変な事になるので。

     接客マナー編

    ここからは、実務のマニュアルになります。これができることでお客様の満足度が上がったり、お店の利益につながったりします。ここがしっかりしていないと利益を出すことが難しいでしょう。ではみてみます。 

    <必要な項目>

    ・接客を行う上での基本方針(原則)

    ・接客の基本フロー(お客様の迎え方、席の案内、注文の取り方)

    ・言葉遣いや敬語の使い方

    ・お客様からよくある質問

    ・良いサービスを行うためのコツ

    接客に関しての基本方針を記します。対人関係になるので、絶対的な正解は少ない仕事ですが、行動や小さな所作によってお客様の感じ方が異なる仕事でもあります。そのような細かい部分に集中するためにも、変わらない部分は決めておく必要があります。

    調理・作業編

     これも実務のマニュアルです。ただし作業中心のマニュアルになります。こちらはスピードと正確性をとにかく重視するため誰がみても解釈の変わらないような、細かいマニュアルを作成する必要があります。

    <必要な項目>

    ・調理に関する基礎知識(食材の扱い方、衛生管理)

    ・作業効率を上げるための動線と準備のコツ

    ・食材の発注

    ・調理マニュアルの覚え方

    ・器具の片付け方

    ・従業員に不満が出ないような配置ルール(面倒な作業を押し付けあわないように)

    調理の仕方だけ記載するのは簡単だと思います。その中で、覚えやすいように工夫する。みやすいように工夫するのが店長の仕事です。人手不足の飲食業界では、マニュアル作りが全てと言っても過言ではないほど、この作業をしておくことで時間が生まれます。作るのに時間がかかり面倒ですが、初めに作っておくようにしましょう。

    新人教育の流れとプランニング

    ここまでは新人が見る用のマニュアルや流れについて触れてきました。ここからは、教育スタッフ用の流れやマニュアルについてお伝えします。

    初日:オリエンテーションと店舗ツアー

     用意した基礎知識編のマニュアルを使って、初日はオリエンテーションをしましょう。オリエンテーションは1時間ほどで良いです。店舗内の案内であったり、チームメンバーとの顔合わせを行います。この時点で、契約の食い違いがないか、質問がないか、懸念点がないか。あればお互いに言うということを徹底しましょう。退職があとにずれればずれるほど、その人のためにかけた教育コストが無駄になってしまいます。良いところばかり言って、従業員を囲い込もうとするのは、後々デメリットしかありません。

    1週目:基本スキルの習得

     まず、接客のロールプレイングを行いましょう。マニュアルを元に説明をします。お客様なしで、動作確認、ものの場所の確認、文言の確認を行います。余裕があればテスト形式で行うのも良いでしょう。

    2週目以降:実践トレーニング

    2週目からは実際にお客様に対して接客をしてもらいます。最初はできなくて当たり前なので、フィードバックを行いましょう。教育係が新人の仕事を奪ってしまわないようにだけ注意しましょう。

    教育方法の工夫:即戦力にするためのポイント

    即戦力になるスピードは教育方法を工夫することによって早くなります。いくつか工夫があるので説明していきます。

    ロールプレイングの活用

    ロールプレイングを行いましょう。ロールプレイングとは実際の接客シーンを想定して演技を行い、そのシナリオを通じて学習するものです。お客様側と従業員側を交代しながら行うことで、従業員としての動きを覚えるだけでなくお客様側の考えも予想することができます。接客を行う上で相手視点になって考えるということはとても大切です。従業員側は何度も接客しているかもしれませんが、お客様にとっては初めての接客です。一人一人に対する接し方を見直すようにしましょう。

    フィードバックの重要性

    飲食店ありがちなのが、忙しさでフィードバックが抜けることです。フィードバックがないので、このぐらいでいいと従業員が勝手に判断して覚えていることがあります。これが新しい新人にも伝わるとややこしいことになります。最初は少し細かいぐらいがちょうど良いので、(これは人によりますが)良い、悪いが明確に判断できるようなフィードバックをしましょう。従業員が自分で考えて良い取り組みをしているときは、積極的に褒めるようにしましょう。

    ビジュアル教材の活用

    文字よりも写真や動画を用いたマニュアルを作るようにしましょう。文字は伝えるのが難しい上に、読み解くのも難しいです。複雑なものは画像や動画で見た方が早いので、ビジュアル教材を積極的に使うようにしましょう。接客のオペレーションなどは、動画で伝える方が情報量も多くてわかりやすいです。共有できる電子機器を使いましょう。

    よくある課題とその対策

    新人が業務を行うにあたって、よくある課題と、その対策方法について紹介します。新人は覚えることが多く、人間関係も出来上がっていないため精神的不安が大きいです。そのため、長く続けてもらうためには多くの課題が生じます。ここでは、新人さんが持ちやすい課題と、その対策方法について紹介します。

    新人が感じるプレッシャーへの対処法

    新人がプレッシャーを感じる理由は二つあります。

    まず、人間関係によるプレッシャーがあるからです。基本的に既存のコミュニティーができているので、新人さんがコミュニケーション得意でない場合はストレスがかかってしまいます。新人さんが既存の従業員と関わりやすいような環境を作れるようにしましょう。教育マニュアルにコミュニケーションができるようなワークを入れておくと良いでしょう。

    次に覚えることが多すぎるからです。これは正直なれるまでは仕方ないのですが、ミスをすると萎縮してしまう場合があります。小さな目標を作り、前に進んだ部分はしっかり褒めてあげることで継続して勤務しやすいでしょう。慣れないうちはサポートできるように、余裕を持った人員配置ができることも大切です。

    まとめ:教育マニュアルで得られる成果

    教育マニュアルを活用することで、以下のような成果が得られます。

    業務の効率化

    明確な手順と具体的なゴールを設けることで、新人スタッフが早期に実務に慣れ、作業スピードが向上します。

    スタッフ間の一貫性

    教育内容が統一されるため、誰が教えても同じクオリティの教育が実現します。これにより、店舗全体の運営が安定します。

    顧客満足度の向上

    接客や調理のスキルを体系的に習得することで、スタッフの対応力が向上し、お客様へのサービスの質が向上します。

    従業員のモチベーションアップ

    明確な評価基準があることで、スタッフが努力の方向性を理解しやすくなり、成果に対する達成感を得やすくなります。

    離職率の低下

    新人スタッフの不安や負担を軽減する教育プロセスを導入することで、働きやすい職場環境を作り、長期的な定着を促進します。

    教育マニュアルは、一度作成して終わりではありません。運用して得られるフィードバックをもとに、定期的に見直し、店舗や業界の変化に合わせて改良していくことが重要です。

    行動指針と次のステップ

    行動指針

    教育マニュアルを活用する際に意識すべきポイントを以下にまとめます。

    シンプルさを最優先

    教育内容は誰でも理解できるように簡潔にまとめ、視覚的な要素を活用する。

    反復的な見直しを習慣化

    実際の運用で発生する課題や現場の声を反映し、常に最新かつ実用的なマニュアルにアップデートする。

    スタッフの意見を取り入れる

    実際に現場で働くスタッフの意見や改善案を収集し、運用に反映することで現場に即した内容を確保する。

    次のステップ

    ステップ1:現状の課題を洗い出す

    まず、現在のスタッフ教育の課題点をリストアップし、改善すべき優先順位を決定します。

    ステップ2:マニュアルを作成・配布

    本記事で紹介した構成を参考に、各業務ごとに詳細なマニュアルを作成します。完成後、全スタッフに共有しましょう。

    ステップ3:トライアル運用

    一部の新人スタッフで新しいマニュアルを試験的に運用し、その効果を測定します。

    ステップ4:改善と本格導入

    試験運用で得たフィードバックを基にマニュアルを改善し、全スタッフに正式に導入します。

    ステップ5:継続的なフィードバック収集

    マニュアル運用後も、定期的にスタッフからの意見を集め、改良を続けていきます。

    教育マニュアルを活用することは、店舗運営を効率化し、顧客満足度や従業員満足度を向上させる大きな一歩です。この仕組みを活用し、持続可能な店舗運営を目指しましょう。

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