「忙しすぎて自分の時間がない!」
飲食業界で働く方なら、一度はそんな状況に直面したことがあるのではないでしょうか。日々の仕込みや接客、閉店後の片付け……。やるべきことが山積みで、帰りが遅くなる日も少なくありません。でも、効率化を意識すれば、忙しさを軽減しつつ店舗のパフォーマンスを最大化することができます。この記事では、私が実際にカフェ店舗運営で行った効率化のコツを具体的にご紹介します。
オペレーション効率化の基本:まず『やめること』を決める
効率化というと、新しい仕組みやツールを取り入れることを考える方が多いですが、実はその前に「やらないこと」を決めることが重要です。なぜなら、何かを増やすには時間や資金などのリソースが必要だからです。このリソースを確保するには、まず不要な業務を削減する必要があります。
効率化のための3ステップ
- 現状の業務をリスト化
開店準備から閉店後の片付けまで、すべての業務をリストアップします。 - 業務の優先順位をつける
売り上げに直結しない業務や無駄なこだわりを削減します。 - 「やらないことリスト」を作る
たとえば、売れない商品の仕込みを減らす、季節ごとのメニューを統一するなど、小さな改善から始めましょう。
実例:売れない商品の仕込みをやめた結果
ある店舗で、過去3カ月の売り上げデータを分析した結果、ほとんど売れていない商品が10品以上あることが判明しました。これらの商品の仕込みにかかる時間を削減し、人気商品の準備に集中したところ、仕込み時間が週5時間短縮され、売上も20%増加しました。メニュー、看板も人気商品が目立つような設計にしています。
また、業務の中には「一見重要そうに見えて、実は無駄になっているもの」が多くあります。例えば、頻繁に行っていた清掃作業の一部を週に1回に減らし、代わりにメニュー開発の時間に充てたこともあります。これにより、新しいメニューを提供するサイクルが早くなり、リピーターの増加に貢献しました。
店舗の特徴と運営条件:効率化のヒントを得るために
店舗の規模や条件によって効率化の方法は異なります。ここでは、私が実際に運営していた店舗の情報を例として挙げます。
表1:店舗情報
従業員数 | 10人程度 |
営業時間 | 12時~21時or12時~22時 |
最大顧客数 | 最大300~400程度 |
座席数 | 80席程度 |
チーム内での役割 | ドリンク2キッチン3ホール3(土日) |
このような店舗では、天候やイベントによる変動が大きいため、柔軟なオペレーションが求められます。また、店舗の売上は客単価×客数で決まりますが、座席数や営業時間がその上限を左右します。こうした要素を踏まえた効率化が重要です。
具体例:天候による影響への対策
テラス席が多い店舗では、天候によって売上が大きく左右されます。そこで、雨の日にはオンライン注文やテイクアウトを強化し、売上の落ち込みを最小限に抑える工夫をしました。また、天候が良い日は外に目立つ看板を置いたり、SNSでテラス席の魅力を発信することで集客を図りました。こうした取り組みで、天候による売上の変動を一定程度抑えることができました。
タイムマネジメント:仕込みから閉店までの流れ
店舗運営において、仕込みや閉店作業に時間がかかりすぎることはよくあります。そこで、私が実践した1日のスケジュールを以下に示します。
表2:1日のスケジュール
時間 | キッチン | ドリンク |
11:00 | 米を炊く、火の準備、前日にできなかった仕込み | レジオープン、清掃活動 |
12:00 | オープン(ランチタイム) | オープン(ランチタイム) レジがくるまでは比較的落ち着いている |
15:00 | 比較的落ち着いてくるので順番に休憩 | カフェタイムのお客様対応 |
16:00 | 翌日の仕込みを開始する | 店内の中間清掃 |
17:00 | 仕込みを続ける | 比較的落ち着いてくるので休憩 |
19:00 | ディナーピークに備えて、お皿などを準備しておく | ディナーのお客様が増えてくる |
21:00 | キッチンラストオーダー | |
21:30 | ドリンクラストオーダー | |
22:00 | 閉店後、後片付け、翌日仕込むものをメモする。発注を行う。 | 閉店後、レジ締め、発注を行う。 |
効率化の具体例
- 食材の選び方を工夫
トマトやチーズなど、複数のメニューに使える食材を活用。切るだけ、混ぜるだけの状態まで仕込みを進めることで、営業中の作業を簡略化できます。 - 仕込み作業を分散
土日のピークに備え、平日に仕込みを多めに進めることで、忙しい日の負担を軽減します。 - メニュー構成をシンプルに
同じベースを活用した複数のメニューを導入することで、調理の手間を減らします。
さらに、仕込みのタイミングを工夫することで、オープン前やクローズ後の時間を大幅に削減することができました。例えば、平日には土日の売上を予測し、多くの仕込みを済ませておくことで、土日は料理の提供に集中できるようにしました。また、ピークタイムには複数の業務が重ならないようにスタッフの役割分担を明確にすることで、作業の効率を高めました。
効率化に役立つツールの紹介
以下のツールを導入することで、時間の削減と作業の効率化が期待できます。
便利ツール一覧
ツール | メリット |
---|---|
POSレジ | 売上や客数データを自動で管理し、分析をスムーズにする |
シフト管理アプリ | スタッフのスケジュール管理が簡単になり、給与計算の手間も削減 |
Excel | 原価管理やロスの確認が容易になり、コスト削減につながる |
具体例:POSレジの活用で業務を効率化
POSレジの導入により、手作業での売上管理が不要になり、データの分析も自動化されました。これにより、どの時間帯に客数が多いのか、どの商品が人気なのかを迅速に把握することができ、効率的な仕込みやスタッフ配置を実現しました。さらに、データを基にした売上予測を行うことで、在庫管理の精度も向上し、無駄な仕入れを減らすことができました。
まとめ:効率化のための行動指針
最後に、今日から始められる具体的な行動ステップをご紹介します。
- 「やらないことリスト」を作成
売り上げに直結しない業務を削減します。 - タイムスケジュールを見直す
営業中にできる仕込みを増やし、閉店後の作業を減らします。 - 効率化ツールを導入
POSレジやシフト管理アプリを使って、業務の自動化を進めましょう。
効率化を進めることで、あなた自身の時間を生み出し、店舗運営の成果をさらに高めることができます。例えば、POSレジを導入することで売上データの分析が自動化され、売上が上がりやすい時間帯にスタッフを多く配置するなどの戦略が立てやすくなります。また、シフト管理アプリを使えば、シフト作成にかかる時間を大幅に短縮でき、より重要な業務に集中することが可能になります。
ぜひ、この記事を参考に一歩を踏み出してください!効率化は一度に完璧にできるものではありませんが、少しずつ改善していくことで、確実に成果を実感できるはずです。
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